東日本大震災復興支援チャリティーコンサート『祈り』

 

いのりだより    

宇治田かおる主宰
2011年〜2015年 

 ご挨拶
 
 東日本大震災から1ヶ月の2011年4月11日に、鎌倉の鶴岡八幡宮で神道・仏教・キリスト教の3宗教合同の復興祈願祭が行われ、その際多くの人が心を合わせて祈っていらした光景が大変印象に残り、人として「祈ること」の大切さを改めて感じさせられました。宗教に関係なく「祈る」ための機会がもっと必要なのではと思い、鎌倉恩寵教会の荒井仁牧師に相談させて頂いたことがきっかけで、チャリティーコンサート『祈り』の開催を決めました。
 2011年の7月に始まり、これまでに12回の開催があり、パイプオルガンの音色に導かれて被災地に心を寄せる「祈祷」の時間を持つと共に、プロの演奏家のボランティアによるコンサートや朗読、講演などを鎌倉恩寵教会の礼拝堂で行って参りました。入場料の純益はすべて東日本大震災の被災地へ送らせて頂いております。
 このコンサートは、本当に多くの皆様に支えられ、助けて頂くことによってここまで続けて来ることができました。荒井仁牧師をはじめ、荒井先生のご紹介で佐藤千郎牧師、松下道成牧師、小宮山剛牧師、吉川智之司祭、N・ブラウネル宣教師、大野高志牧師にご協力頂き、毎回お心のこもったご祈祷で会場の皆様を導いて下さいましたことを心より感謝申し上げます。また、パイプオルガンの美しい音色で、私たちを日常の気忙しさから「祈り」の時間へと気持ちを落ち着かせて下さったオルガニストの山口みどりさん、八木史子さん、平田知子さん、濱裕子さん、本当にどうもありがとうございました。

 
 
 
  

 
 2011年7月9日の第1回は、ソプラノ歌手の佐伯葉子さんが想いのこもった美しい歌声を、フルートの加納敬三さんが心が洗われるような澄んだ音色を披露して下さいました。お二人ともどのような会になるのか分からない中、快くご協力して頂き、素晴らしい初回を開催できましたことがその後の回を続ける大きな原動力となりました。
 
 8月13日の第2回目は暑い真夏の日差しにぴったりなハープの安井弘子さんとヴァイオリンの小形真奈美さん、ピアノ伴奏の小形さくらさんの清々しい演奏で、ほっと癒されるひとときでした。

 9月10日の第3回では作曲家の尾高惇忠さんの伴奏で、奥様のメゾソプラノ歌手、尾高綾子さんが、尾高惇忠さん作曲の趣深い歌曲を艶やかな美声で歌って下さり、会場の皆様はうっとりとその歌声に聴き入っていらっしゃいました。安藤美佳さんの情緒豊かなヴィオラも好評でした。
 
 10月8日の第4回ではマリンバの岡田眞理子さんがお弟子さんの田村拓也さんの伴奏と共に演奏して下さいました。樹で作られた教会に、樹の楽器のまろやかで美しい響きがこだまして、まるで天国にいるかのようでした。この日のために作曲家の山川あをいさんが祈りの曲を書き下ろして下さいました。大変残念なことに、岡田眞理子さんは2014年6月にご病気でご逝去されました。多くのお弟子さんからも愛されていらしたお人柄と、恩寵教会で演奏して下さったマリンバの音色は今尚忘れることが出来ません。心より平安をお祈り申し上げます。

 11月12日の第5回は長年日本のオペラ界をリードされてきたテノール歌手の下野昇さんに登場して頂き、豊かな歌声、太陽のような温かいエネルギーで会場を包んで下さいました。ソプラノの淵岡優子さんは、明るく美しい歌声で会場を華やかな雰囲気で満たして下さいました。
 
 12月17日の第6回はチェロの倉田澄子さんが尾高惇忠さんのピアノと共にご出演して下さいました。優しく、深く、語りかけるようなチェロの音色は美しいピアノと調和して、まさに慈愛に満ちた癒しの音楽というべきものでした。滝口亮介さんの指揮でグレースコワイヤにも出演して頂き、佐々木美和子さんの美しいオーボエと共に、素敵なコーラスを披露して下さいました。

 2012年2月11日の第7回は薩摩琵琶の坂麗水さんに弾き語りをして頂きました。教会に響く薩摩琵琶が大変美しく雅で、お話にも引き込まれました。薩摩琵琶とフルートとピアノとのコラボでは、フルートの加納敬三さん、編曲の久松義恭さんにご協力頂き、とても興味深い作品を聴くことができました。
 
 3月10日の第8回。震災から一年の節目では、バッハを中心としたプログラムで被災地の復興を願い、会場の皆様と心を合わせて祈りました。ヴァイオリンの梅津美葉さんの素晴らしいコンチェルトをはじめ、ソプラノ歌手の淵岡優子さん、ヴィオラの安藤美佳さん、フルートの加納敬三さん、ソプラノ歌手の宇治田眞子さんの演奏、そしてグレースコワイヤにオーボエの佐々木美和子さんにも加わって頂き、全員演奏による滝口亮介さん指揮のマタイ受難曲は圧巻で、心が震えました。

 第2シリーズとなる10月13日の第9回は、前半をフリーアナウンサーの濱田典子さんに被災地でのニュースとなった出来事を朗読して頂き、小学生の奥澤美礼ちゃん、志村梨々香ちゃん、中学生の篠原大典くんには、被災地のこども達による作文を音読して頂きました。後半はヴァイオリンの小形真奈美さん、ヴィオラの安藤美佳さん、チェロの灘尾彩さん、ピアノの斉藤龍さんによる素敵な室内楽の演奏で心温まる時間となりました。
 
 震災から2年目の2013年3月9日の第10回は、岩手在住の復元納棺師・笹原留似子さんをお招きして講演をして頂きました。笹原さんはこれまで、津波被害の激しかった沿岸地域で大きな損傷を受けた300人以上のご遺体を元の穏やかな笑顔に復元して、家族との最後の別れを支えるボランティアをされて来られました。最も辛いお別れの多くの現場に立ち会われた笹原さんのお話に、多くの方が涙を流されていました。プログラム後半は、女優の田中美佐子さんが「最後だとわかっていたら」(マレック作)という詩を想いを込めての朗読して下さいました。この詩に合わせて作曲家の尾高惇忠さんが美しいピアノ曲を作って下さり、今を生きる大切さを心から感じるひとときとなりました。そして続くコンサートの部では、ギタリストの鈴木大介さんが優しいギターの音色で温かく会場を包んで下さいました。

 
 第3シリーズ、7月13日の第11回はジャンルを超えてジャズ、ポップスの演奏をして頂きました。心を打つヴォーカリスト、フランシスマヤさんの歌声、ベテランのピアニスト杉山泰さん、ドラマーの阿久井喜一郎さん、若い才能豊かなベーシスト山本連さんの演奏は躍動感あふれるエネルギーに満ちていて、元気を頂きました。音響の安保亮さんは機材を積んで早朝東京から車で駆けつけて下さいました。
 
 震災から3年目の2014年3月8日の第12回は、シンガーソングライターの八神純子さんが出演して下さいました。八神さんは震災直後から「トランスパシフィックキャンペーン」というボランティア活動を立ち上げて精力的に支援を続けて来られ、前半の復元納棺師の笹原留似子さんとの対談ではご活動の様子や、被災地で感じられたことなどをお話し下さいました。後半は久松義恭さん編曲、ピアノの杉山泰さん、フルートの加納敬三さん、ヴァイオリンの小形真奈美さん、チェロの榊原糸野さんの伴奏で、魂が震えるような素晴らしい歌声を披露して下さり、会場は感動でいっぱいになりました。フリーアナウンサーの服部恭子さんが司会を担当して下さり、トランスパシフィックキャンペーンのスタッフの皆様も物品販売等ご協力して下さいました。

 
 各コンサートを開催するにあたり、鎌倉恩寵教会の会員の皆様には、会場の設営やお客様のご案内等、多大なご協力を頂きました。また、ボランティアとして城宏さんにはビデオ撮影を、調律師の岩川正順さんにはピアノ調律をして頂きました。会場近くのブンブン紅茶店さんには何度も美味しい紅茶の差し入れをして頂き、Maison de 雪ノ下さんにはチラシを置かせて頂きました。また、笹原留似子さんの秘書の菊池秀樹さんにも大変お世話になりました。そして、毎回一生懸命働いて下さったスタッフの皆様のお陰でこの会を今日まで続けて来ることが出来ました。
 多くの皆様の温かいご協力、ご支援を頂き、毎回がかけがえのない会となりましたことを心より感謝申し上げます。皆様の素晴らしいエネルギーこそが、幾多もの感動的な瞬間の原動力であったことを目の当たりにいたしました。
 皆様の想いは被災地の皆様にも届いていると信じております。どうもありがとうございました。

Project   ♡play to pray
宇治田かおる
(『いのりだより』 最終回(第13回)に配布)
2015 年3月14日
2015年3月14日
第13回コンサート

いのりだより

(1)
(2)
(3)
(4)

第1シリーズ 2011年7月〜2012年3月

第2シリーズ 2012年10月、2013年3月

第3シリーズ 2013年7月、2014年3月、2015年3月